「FTTHへの道 〜eoメガファイバー(ホームタイプ)導入記〜
− 2002年 5月 −

5月11日

eoメガファイバー(ホームタイプ)のウェブサイトに「サービスご提供の遅延に関するお知らせとお詫び」という文書が掲載されていた。 それによると、標準工期(2ヶ月)よりもさらに1〜2ヶ月、余分に時間が掛かることもあるらしい。 これは、申し込んだときから気長に待つつもりだった私にとっては、さほど気にならないことで、逆に「ルータ選びにじっくり時間を掛けられる」と考えていたのだが…。

私の家から100m近く離れたところに、ケイ・オプティコムの光ファイバー用クロージャがある。 ちなみに、この場合のクロージャとは、電柱を渡るケーブルにぶら下げられたケースのことで、光ファイバーが延長・分配される際の接続部分を保護するためのものだ。 今日、このクロージャから、新たに光ファイバーが延ばされているのを目にした。近くまで様子を見に行くと、電柱から電柱へと光ファイバーを渡しているところだった。 確証は無いが、その経路から言って、我が家へ向かっている光ファイバーだろう。 朝、「サービスご提供の遅延に関するお知らせとお詫び」という文書を読んだ時点では、まだ先のことだと考えていた宅内工事だが、この調子で行けば、もうすぐなのかも知れない…。


5月13日

先日(5月11日)光ファイバーを渡していたところへ、その後どうなったのか様子を見に行った。 新たに渡された光ファイバーをたどっていくと、そのオレンジ色のテープが巻かれたケーブルは、30m程度の長さしかなかった。 その先には分配用と思われるクロージャがあり、そこから延ばされた1本の細い光ファイバーケーブルが、近くの家へ引き込まれていた。 先日の工事は、この家へ光ファイバーを引き込むためのものだったらしい。 さらに、めったに通らないこの辺りを歩いていて、気付いたことがあった。 電柱の配置から考えると、この辺りからは、私の家まで光ファイバーを渡していくのが困難なのだ。 私の家に引き込まれる光ファイバーが、どこのクロージャから延ばされ、どういう経路を通ってくるのか、まったく分からなくなってしまった。


5月14日

アライドテレシスが、ブロードバンドルータ「CentreCOM AR230E」の新しいファームウェアについて発表した。 この新しいファームウェアでは、ステートフル・パケット・インスペクションが追加され、セキュリティが強化されている。 今後の流れとして、ステートフル・パケット・インスペクションを搭載するルータが、ますます増えてくるだろう。


5月18日

eoメガファイバー(ホームタイプ)のウェブサイトで確認することができる工事進捗状況は、「受付」、「宅内調査・設計」、「光ルート設計/各種申請準備」、「各種申請」、「工事」という各段階に分かれている。 私の場合、「工事進捗状況確認画面」の内容が一部変更になった4月18日以降は、「光ルート設計/各種申請準備中」(「宅内調査・設計」までが完了)という表示に、まったく変わりはなかった。 ところが今朝確認してみると、一気に状況は進み、「工事中」(「各種申請」までが完了)となっていたのだ。 この場合の工事とは、光ファイバーケーブルを、家の近くまで延ばしてくるためのものだと思うが、宅内へ引き込む日もそう遠くはなさそうだ。

そう思っていたのも束の間だった。 夕方、ケイ・オプティコムから「eoメガファイバーホームタイプサービスご提供時期の遅延に対するお詫びについて」というハガキが届いたからだ。 その内容は「さて、誠に申し訳ございませんが、お客さまへのサービスご提供時期について、お申込みが殺到した関係で工事工程が遅れております。また、お客さま宅までの光ファイバールートの設計結果により、他事業者の設備を経由してのご提供となり、現在、同事業者に許可申請手続きをとっている段階です。ご提供時期については、許可取得後の光ファイバーケーブル敷設に必要な諸手続きと合わせ、2ヶ月程度遅くなる見通しでございます。」(以上、ハガキより抜粋)というものだ。 今朝確認した「工事進捗状況確認画面」とは、矛盾するように思える。 この一見矛盾する内容、どちらも正しいとすれば、双方にタイムラグがあったからだと考えるしかない。 ハガキは他事業者に許可申請手続きをとった時点で出され、その後許可が下りたので工事を開始し、「工事進捗状況確認画面」を更新したとすれば、一応納得がいく。 しかし、たとえこの推測が正しいとしても、宅内工事がいつになるのかは、はっきりしない状況だ。


5月21日

昼過ぎ、郵便受けを開けると、ケイ・オプティコムから「クロネコ メール便」が届いていた。 封を開けると、中には「パソコン設定関係書類のご送付と工事予定に関するご案内」という紙が入っており、「5月末から6月上旬にかけて開通工事に関するご連絡を差し上げたうえ、工事を実施させていただく予定でございます。」(以上、抜粋)と書かれていた。 どうやら、先日(5月18日)の推測は正しかったらしい。他には、接続に必要なIDやパスワードなどが記された「eoメガファイバー登録証」と、設定の方法などが書かれた「eoメガファイバー クイックリファレンス」が同封されていた。 工事完了後、すぐサービスを利用できるようにと、必要な書類を事前に送付してくるところは好感が持てる。 ただ、IDやパスワードなどの記された紙が同封されているにもかかわらず、受取時に印鑑を必要としない「メール便」で届くのは、多少気になるところだ。

宅内工事が、それほど先の話ではないと分かった今、ルータ選びにも、そろそろ本腰を入れねばならないだろう。


5月25日

夕方、ふと家の中から外を見てみると、道路上にケーブルが這(は)わされていた。 しばらく様子を見ていると、高所作業用の車が家の近くに止まり、「きんでん」の作業員が、道路上に這(は)わされていたケーブルを電柱の間に渡しはじめた。 光ファイバーは、このケーブルに沿って吊(つ)り下げられ、延ばされてくるのだ。 ケーブルを渡し終えると、予想以上に大掛かりな工事は終了した。

夜、光ファイバーがどういう経路で私の家まで延ばされてくるのか、見に行くことにした。 電柱の間に渡されたケーブルを見上げ、たどっていくと、予想外の方向へ続いていた。 以前(5月11日)、「私の家から100m近く離れたところに、ケイ・オプティコムの光ファイバー用クロージャがある」と書いていたが、それとは正反対の方向へ続いていたのだ。 しばらくたどっていくと、光ファイバーが幾重にも巻かれ、ぶら下げられているのを見つけた。 後日、適当な位置にクロージャを設置し、この光ファイバーを接続するのだろう。 夜の住宅街でケーブルを見上げながら歩いていては、不審に思われるかも知れないので、それ以上たどっていくことはしなかったが、光ファイバーは、かなり遠くから延ばされてきているようだった。

私のために、大掛かりな作業が行われ、光ファイバーが遠くから延ばされてきているのかと思うと、一種の感動すら覚える。 5月18日以降、「eoメガファイバー(ホームタイプ)」ウェブサイトの「工事進捗状況確認画面」には「工事中」と表示されていたが、家の近くで工事が行われている様子を目にして、ようやく、その実感が湧(わ)いてきた。 宅内工事が行われる日も、そう遠くはなさそうだ。


5月26日

朝、関西電力グループの「きんでん」から電話があり、5月30日の午後から宅内工事が行われることになった。 昨日の様子から、近々宅内工事が行われるのではないと感じていたが、予想以上の早さだ。 数日前までは、大幅に遅れることも覚悟していたが、結局は、申し込んでから2ヶ月ちょっとと、標準の2ヶ月に近い日数で宅内工事が行われることになった。 これは、1日でも早くサービスを提供しようとして行われてきた努力の賜物(たまもの)なのだろう。

「ぶら下げられた光ファイバー」の写真 夕方、昨日と同じエンジン音が聞こえ、工事を行っているような気配(けはい)を感じたので、家の中から外を窺(うかが)うと、高所作業用の車が止まっていた。 「きんでん」の作業員が、昨日渡したケーブルに沿って、細い光ファイバーを吊(つ)り下げていく。 家の前まで延ばされてきた光ファイバーは、私の部屋へ引き込むのに必要な長さで切断され、巻かれた状態でぶら下げられた。 夢にまで見た光ファイバーが、ついに目の前まで延ばされてきたのだ。


5月30日

昼過ぎ、「きんでん」の工事担当者から電話があった。 これから訪問しても良いかどうかを確認する電話だ。 しばらく待つと、屋根のうえにハシゴを載せた1BOXカーが家の前に止まり、工事担当者が2人降りて来た。 彼らは、手短にあいさつを済ませると、先にフックの付いたハシゴを車から降ろし、工事を開始した。

「壁に通された光ファイバー」の写真 工事担当者の1人が、巻かれた状態でぶら下げられている光ファイバーの真下へハシゴを持っていき、その先に付いたフックを電柱の間に渡されたケーブルへ引っ掛けた。 その不安定な状態で揺れるハシゴを何の躊躇(ちゅうちょ)もなく駆け上がると、巻かれていた光ファイバーを解いた。 もう1人の工事担当者が、工具袋と、精密機器が入っていそうなハードケース、そして「富士通」のロゴが印刷されたメディアコンバータの箱を、私の部屋へ運んだ。 間違いをなくすためだろうか、箱の側面には、私の名前が大きく書かれていた。

家の敷地内へ入ってきた光ファイバーは、電気の引き込み線用碍子(がいし)が設置されている支柱に固定された。 そこからは、樋(とい)の下を伝うようにして、引き込むための穴を開ける位置まで延ばされていった。 うまく這(は)わされているので、その細い光ファイバーがどこにあるのか、一瞬ではわからないぐらいだ。 光ファイバーを引き込むための穴は、ドリルを使って、家の中から開けられた。 部屋の壁は薄い合板なので何の問題もなかったが、そこから先は何か硬いものに阻まれていたのか、貫通までには予想以上の時間を要した。

ようやく穴が開き、光ファイバーが部屋の中へ通されると、工事の内容が一変した。 ドリルなどの工具を使った、いかにも“工事”という感じのものから、繊細な職人芸的なものに変わったのだ。 光ファイバーをメディアコンバータに接続させる作業は、それだけシビアなのだろう。 光ファイバーは、部屋の中へ入った時点で、被覆が1枚剥(は)がされて、より細くなっている。 その先端部分の被覆が、さらにもう1枚を剥(は)がされると、2本の非常に細い光ファイバーが露出した。 この2本の光ファイバーは、青と黄、異なった色の被覆に守られている。 青い被覆を剥(は)がすと、布のようなものに特殊な液体を付け、露出したガラス部分を丹念に磨きはじめた。 この職人芸的な作業が、なかなか大変なようで、何度もチェックしては、首を傾(かし)げ、やりなおしていた。 ようやく出来上がったのか、その磨き上げられた先端と、短い光ファイバーの付いたメディアコンバータの部品を接着した。

その後、メディアコンバータが組み上げられ、光ファイバーが壁に固定され、工事は終了。 工事後には、専用機器での測定や、ノートパソコンでの接続試験が行われるのかと思っていたが、メディアコンバータの「CHECK」LEDで確認しただけのようだった。 工事担当者は、予想以上に時間が掛かったことを詫(わ)び、私の家を後にした。

「メディアコンバータ」の写真 私の部屋に設置されたメディアコンバータ、富士通の「光ブランチユニット GeoStream A501」。結局、机の上に設置した。

LED表示は上から、「POWER」、「CHECK」、「LINK/ACT」、「100M」、「FDX」。 正常に動作しているので、「CHECK」LEDは消灯している。 他のLEDはすべて点灯しているが、これは、電源が投入(「POWER」)され、100Mbps(「100M」)全二重(「FDX」)でリンクが確立(「LINK/ACT」)されていることを示している。

パソコン量販店の店頭には、まず並ぶことのない機器だが、デザイン的には一般家庭で設置されることを想定しているようだ。

電源はACアダプターだが、ACケーブルを接続するタイプだ。プラグ一体型とは異なり、となりのコンセントを塞(ふさ)いでしまうようなことはない。

私の部屋に設置されたものだけだとは思うが、電源スイッチ辺りに触れただけで、フロントパネル(本体前面の色が濃い部分)が簡単に外れてしまうのは、多少気になるところだ。 ただ、私の場合、ネットワーク機器の電源はUPS(無停電電源装置)で一元管理しているので、メディアコンバータのスイッチに触れる機会は無いに等しい。 つまり、実用上は差し支えないので、とくに苦情を言うようなことはせず、そのままにしている。


5月31日

昨日で工事は完了し、いつでも「eoメガファイバー(ホームタイプ)」のサービスを利用できる状態だが、まだ一度も接続していない。 理由はただひとつ、ルータを設置していないからだ。 本来は、サービスが利用可能になれば、すぐにでも接続できるよう、あらかじめルータを入手し、設定を行い、宅内工事が行われる日を待つ予定だった。 しかし、宅内工事がいつ行われるのか、最後まで判断しにくい状況だったこともあり、予定通りには行かなかったのだ。

ルータの選択には、最後まで頭を悩ましたが、本日入手するに至った。 最終的に私が取った選択は、市販のLinuxルータ、センチュリー・システムズの「FutureNet XR-300/TX2」だ。 動作の安定性と、ステートフル・パケット・インスペクションを搭載したセキュリティの高さを評価した。 この2点が決め手となり、他の市販ルータや、自作Linuxルータを落選に追い込んだ。 私の環境におけるスループットは、PPPoENATIPマスカレード、ステートフル・パケット・インスペクション、10数件のパケットフィルタリングを使用する予定なので、公表されている値から推測して、おそらく20Mbps台前半だろう。 これは、決して満足の行くレベルではないが、安定性やセキュリティを犠牲にしてまでスループットを得たいとは思わない。 また、コストパフォーマンスに関しても、良いとは言い難いが、超小型PCとも言えるそのハードウェア構成や、機能などを考えれば妥当な価格だろう。


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