“ソフトウェアライター かいしん”のコンピュータレビュー(?) 「コンパクトなキーボード PFU『Happy Hacking Keyboard』」 |
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人間工学に基づいた快適な操作環境を求めて…長時間コンピュータに向かって作業する場合、人間工学に基づいた快適な操作環境を整備することが必要だ。 そのためには、頻繁に使用するキーボードとマウスを操作しやすいような配置にしたい。 文字にすれば簡単に思えるが、実際にやってみると意外に難しい。 キーボードを見ずに入力(タッチタイプ)するためには、両手の指をホームポジションに置く必要がある。 具体的に言えば、左手の人差し指を「F」に、中指を「D」に、薬指を「S」に、小指を「A」に、右手の人差し指を「J」に、中指を「K」に、薬指を「L」に、小指を「;」に、置くわけだ。 これを踏まえ、楽な姿勢でタッチタイプを行えるようにキーボードを置くと、体の中心線の真正面に「G」と「H」の間がくる。 マウスは、キーボードのホームポジションにある手を、真横に移動させれば操作できるように置きたい。 右手でマウスを操作する私の場合、キーボードの右横へ置くことになる。 ところが、一般的なキーボードの場合、右側にはカーソルキーやテンキーなどがあり、マウスの位置はかなり遠くなってしまう。 これでは操作しづらいので、妥協できるところまで、キーボードとマウスを左側へずらしていくことになる。 やや無理な姿勢ながらタッチタイプを行え、少し遠いがマウスを操作できるという配置にするわけだ。 これは操作可能なキーボードとマウスの配置だが、快適な環境とは言い難い。 それでは、キーボードの手前にマウスを置いてみたら、どうなるか。 この場合、体の中心線の真正面に「G」と「H」の間がくるよう、キーボードを配置しても、マウスは遠くならない。 しかし、楽な姿勢でタッチタイプを行うためには、左右の位置関係だけでなく、体からキーボードまでの距離も適切にする必要がある。 それを考慮してキーボードを置けば、マウスを操作する空間が非常に狭くなってしまう。 逆に、操作しやすいようにマウスを置けば、キーボードが遠くなってしまうのだ。 また、どちらにしても、コードレスでなければ、マウスのケーブルがキーボードに当たり操作を妨げる。 この配置も、快適な操作環境というには、ほど遠い。 キーボードの向こう側にマウス…、これは試さなかった。 想像しただけで、操作しづらい。試すまでもないだろう。 実はもうひとつ、試そうとしたが、少し考えて断念した方法がある。 カーソルキーやテンキーなどがない、キーボードの左側にマウス置く方法だ。 マウスを左側に置けば、一挙に問題解決、理想的な配置にできる。 しかし、最大の難点は、右利きの私が、左手でマウスを操作しなければならないということだ。 長年右手でマウスを操作してきた私にとって、そう簡単なことではない。 やはりマウスは、キーボードの右横に置き、右手で操作したい。 それでいて、キーボードもマウスも操作しやすい配置にしたい。すべてを満たすためには、どうすれば良いのか。 頭に浮かんだのが、カーソルキーやテンキーなどがあるあたり(以下「サブキー空間」と称す)にマウスを置ければ…ということだった。 「サブキー空間」がなければ、キーボードとマウスを理想的な配置にでき、さらに机のうえを広く使えるのだ。 そう思い、あらためて考えてみると、テンキーやカーソルキーやその周辺にあるキーは意外に使わない。 私の場合、ある程度使うのは、カーソルキーと「Delete」ぐらいだ。 テンキーも使うが、なかったら困るかと言われれば、そうでもない。 そもそも、私がコンピュータを使いはじめたころには、テンキーは標準装備ではなかったのだ。 そう考えると、机のうえを占領している大きなキーボードが邪魔に思えてくる。 「サブキー空間」をバッサリ切ったような、コンパクトなキーボードが欲しくなってきた。 遂(つい)に見つけた理想のキーボードそこで、「サブキー空間」をバッサリカット、19mmぐらいの標準的なキーピッチ、適度なキーストローク、一般的な日本語配列のものに近いキーレイアウト、などの条件を満たす、コンパクトなキーボードがないか探してみた。 そして遂(つい)に見つけたのが、PFUの「Happy Hacking Keyboard」(以下「HHK」)シリーズだ。 「HHK」には、大きく分けて、標準的なモデル、独立したカーソルキーを追加し色やキー配列を選択できる「Lite2」、使い心地を追求した「Professional」の3タイプがある。 私は、キーレイアウトを重視し、「Lite2」の日本語配列モデルを購入することにした。 「HHK」のサイズは十分把握していたはずだったが、実物を手にしてみると、その小ささは予想以上だった。 「HHK」が入った箱を見た時点で、その小ささに驚いたぐらいだ。 キーの数を最小限に抑えて小型化した「HHK」、極限まで鍛え上げたアスリートのようで、見ているだけでうれしくなる。 早速、今まで使用していた“ばかでかい”キーボードを退け、「HHK」を置くと、机のうえが一気に広くなったように感じた。 楽な姿勢でタッチタイプを行えるように「HHK」を置き、その右横にマウスパッドを持ってくる。 私が思い描いていたとおり、一般的なキーボードの「サブキー空間」で、マウスを操作できるようになった。 コンパクトな「HHK」が生み出すキーボードとマウスの理想的な配置、快適な操作環境の実現だ。 「Lite2」の使い心地「HHK Lite2」のキータッチは、適度な反発力があり、私には心地良(ここちよ)く感じた。 言い換えれば、重い部類に入るキータッチなので、軽いのが好みの人には合わないかも知れない。 コンパクトなサイズながら、キーピッチは標準的な19.05mm、キーストロークも十分にあり、しかも日本語配列モデルなので、文字を入力している限り、まったく違和感はない。 キーの数を最小限に抑えたため、ファンクションキーなど一部の特殊キーは独立して存在せず、キーの斜面に刻印されている。 「Fn」キーを押しながら入力しなければならないが、不便に感じることはない。 それどころか、大量に文字を入力する場合には、通常のキーボードより使いやすく感じるぐらいだ。 私の場合、「BackSpace」と「Delete」(「Fn」+「BackSpace」)を、たまに間違えるが、慣れるのは時間の問題だろう。 ただし、キーの数を最小限に抑えた弊害が、まったくないわけではない。その構造上、ファンクションキーなどの特殊キーを多用したり、数字を大量に入力するような用途には向いていないので、注意が必要だ。 キー配列(日本語と英語)やインターフェース(PS/2とUSB)だけでなく、色(白と黒)も選択できるのがうれしい。 コンピュータ本体の色に合わせることが本来の目的だと思うが、2台のキーボードを併用する場合、容易に見分けることが可能だ。 私は、1台のモニタに2台のPCワークステーション(以下「WS」)を接続しているが、キーボードとマウスに関しては、切り替え器の使用を避けたいので、共用していない。 つまり、キーボードとマウスが2つずつあるわけだ。2台のWSはメーカーも使用年数も異なるので、標準装備のキーボードとマウスは、すぐに見分けがつく。 しかし、もしまったく同じキーボードだとしたら、当然ながら見分けるのは難しいだろう。 「HHK Lite2」を気に入った私は、すぐに、もう一台購入した。 机のうえには2台の「HHK Lite2」が置いてあるが、色によって、どちらのWSに接続されたものか、容易に見分けがつくのだ。 |
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時には無駄な標準装備のキーボードコンピュータ本体やモニタの設置面積が小さくなっているなか、相変わらず標準装備のキーボードは大きい。 コンピュータの構成を選択できるBTO方式でも、キーボードに関しては、ほとんど自由が利かない。 なぜ、「HHK」のような、コンパクトなキーボードを選択できないのだろうか。 せめて、キーボードレスを選択できるようになっていれば、と思う。 すべての人が、機能を付加した大きなキーボードを求めているわけではない。 シンプルでコンパクトなキーボードを求めている人もいるのだ。 現在、私の机には、白と黒、2台の「HHK Lite2」が置かれている。 「HHK」を購入したおかげで、快適な操作環境を実現でき、机のうえも広くなった。 唯一の欠点は、標準装備のキーボードを引退に追いやってしまったことかも知れない。 引退したキーボードのうち1台は、6年ほど使ってきたので、よく働いてくれたと見送ることができた。 しかし、もう1台の、購入したばかりのPCワークステーションに付いてきたキーボードは、たった3日間で引退させてしまった。 あまりにもかわいそうで、申し訳ない。 もし、BTOでキーボードレスを選択できていれば…、と思ってしまう。 作業効率を向上させてくれる標準装備のキーボードを引退させることにはなったが、「HHK」を導入して得られた効果は絶大だ。 名前のとおり「Happy Hacking!」、コンピュータの操作に集中できる。 「HHK」を使っていると、これがキーボードの“あるべき姿”ではないかと思えてくるのだ。 非常にコンパクトで使い心地の良い「Happy Hacking Keyboard」シリーズは、「机のうえを広くしたい」「快適な操作環境を実現したい」という希望をかなえてくれる。 その結果として、コンピュータの操作に長時間集中することを可能にし、作業効率を向上させてくれるのだ。
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